信頼性の高いハードウェアが信頼性の高いテクノロジーを創る-グローク社の状況認識システム(AS)のハードウェア・フレームワーク

グローク社のハードウェア統括であるテームー・ヘレニウス氏は、状況認識システムに精通しています。この最先端の航行支援システムは、近傍の船舶や障害物に関する情報をリアルタイムで取得し、クルーに提供することで、意思決定能力の向上を図っています。

今月は、状況認識システムを支えるハードウェアの詳細についてヘレニウス氏に話を伺いました。

状況認識システムの製品は2種類ありますが、それぞれが2つの異なるコンポーネント、すなわち船舶のブリッジの上に搭載するセンサーユニットとブリッジ内に設置するシステムキャビネットから構成されています。2種類の製品は若干異なり、最も顕著な相違点は視角です。

AS Proは通常カメラと赤外線カメラの双方を備えています。通常カメラはブリッジのクルーに225°の視角(水平方向)を、赤外線カメラは180°の視角を提供します。AS Liteは視角90°の通常カメラを備えており、オプションで視角60°の赤外線カメラを追加することができます。いずれの製品にも近傍の船舶に関するデータを取得するAIS情報受信器、ピッチ、ロール、ヨーに関するデータを収集する慣性情報センサーと位置データ用の高精度GNSSを備えています。

AS Proの視覚

しかし、両製品が競合製品と一線を画しているのは、グローク社のカスタムカメラです。ヘレニウス氏によると、グローク社がASの開発を始めたときに、市場にはそのような既製のカメラシステムは存在しませんでした。

「私たちは自社で開発を始めなければなりませんでした。AS Proの視角180°の赤外線カメラは、世界初のものだと思います。視角の広さという意味でですね」とヘレニウス氏は説明しました。

グローク社の状況認識システムが特別であるもう1つの点として、調節可能なことが挙げられます。

「私たちのデバイスは基本的にモジュール式ですので、様々なビジネスケースや、新たな市場に参入するときに合わせて調整することができます。部品を追加したり取り外したりすることができるのです」とヘレニウス氏は語りました。

最終的な目標は、簡単に組み込めるようにすることです。

「ユニット1台を1か所に搭載するわけですから、お客様が取り付けることも非常に簡単です。」

センサーそのものについても、ヘレニウス氏は、通常カメラと赤外線カメラを組み合わせることで、夜間のように照度が低い条件でも高水準の情報を得られると説明しました。

赤外線画像ブレンドの原理

「通常カメラはものを見るのに十分な光がある昼間に稼働しますが、赤外線カメラは1日24時間稼働します。私たちのUIでは、通常カメラ、赤外線カメラの出力を表示したり、2つのカメラの出力をお好みの比率で表示したりすることもできます。」

センサーが収集した情報は、ブリッジのクルーに表示されるまでに遅延が生じることが多くありますが、ASの場合、グローク社はリアルタイム表示能力を実現するため、遅延の最小化に向けて鋭意取り組んでいます。

「船外とUIを見たときに、大幅な遅延があってはいけません。私たちの場合、今のところ1秒未満を限度としています。」

ヘレニウス氏はまた、船舶に同システムを搭載することは船齢にかかわらず容易であると説明しました。

「改修は分かりやすい事例です。私たちは必ずしも船舶の既存のシステムに組み込んでいるわけではありません。船舶から電力が得られさえすればよいのです。電力ケーブルを私たちのシステムに接続し、私たちのセンサーユニットとメインキャビネットをケーブル1本で結ぶ。既存の船舶への搭載は、AS Liteであれば3時間から6時間程度で済みます。大きなディスプレイなどを備えたAS Proとなると所要時間は長くなりますが、AS Liteであれば船主自ら取り付けることができるはずです。」

ヘレニウス氏は、グローク社の社風や状況認識システムの開発に取り組んだ経験について語りました。

「海事産業について学び、そのような製品の開発に取り組むことはよい機会でした。私たちは初めてこのことに取り組んだ企業の一つであり、それは非常にユニークなことです。もちろん困難なこともありますが、もし困難でなければ、とっくに実現されていたことでしょう。」

ハードウェア統括のテームー・ヘレニウス氏は、グローク社が創るテクノロジー同様、同社がユニークであることを示す好例です。ヘレニウス氏は、様々なバックグランドを有する人々が共通の目標を達成するために協力する専属チームの一員です。

その目標とは、すべての人にとって海をより安全な場所にするシステムを創るという崇高なものです。

グローク会員制ニュースレター2021年6月号掲載記事

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