インタビュー:状況認識システム-技術融合を通じて精度と信頼性を実現 製品統括マケラヴァイティロ氏

本記事は、当社が開発中の製品である状況認識システム (Awareness System、AS) について詳しくご紹介致します。状況認識システムは、航行中の海の正確かつ信頼できる情報を提供することで、乗組員が混雑海域を操船する際の手助けとなるように設計されています。当社の製品統括であるミッコ・マケラヴァイティロが、乗組員が直面している問題のいくつかを説明致します。

「混雑海域での見張りは、乗組員にとって大きなストレスとなります。窓からの目視のほか、レーダー、そしてAIS(船舶自動識別装置)があり、これら全てに注意をはらい、画面に表示されている物体は何なのか、そして、それが実際どこにあるのか、これら全てを関連付けて理解しなければなりません。この遅延時間は20秒程度しか許されないため、当然複雑さが増します。」と製品統括を担うMikko Mäkelä-Vaitilo(ミッコ・マケラヴァイティロ)は話します。

目視している状況と、ブリッジの機器から提供される情報を関連付けるのは簡単なことではありません。特に夜間など視界が悪いときや、航行灯を点灯しない小型漁船が多くいる場合などは困難さが増します。日本の海域を航行する際、ブリッジの乗組員はこのような状況に日常的に遭遇します。

「漁船は次に何をするのか予測しづらく、(このような状況における航行で)最も問題となるのが、ブリッジにおける認知ストレスだと考えています。周囲の状況を常に把握し、複数のシステムを照合確認しなければならないのですから。」

状況認識システム(AS)は、このような問題を解決するために生まれました。

ミッコによれば、ASとは「複数のセンサーからの情報を組み合わせ、船舶の周辺状況を直感的でわかりやすく表示するソリューション」です。

すなわちASは、さまざまなセンサーから入力された情報を統合し、簡単に把握できるひとつの画面として表示するシステムです。ただし、状況認識システム(AS)は、既存のシステムを代替するものではなく、拡張するものであるとミッコは指摘します。

「当社のシステムは、既存のシステムの代わりになるものではありません。拡張現実(AR)技術によって強化した融合情報を提供し、周囲の視認性を高めて乗組員の負担を軽減します。カメラが撮影した実際の映像上で、他船が航行している場所をハイライトします。さらに、夜間の視認性を確保するため赤外線カメラを採用しています。」

ミッコによれば、状況認識システム(AS)に搭載されているテクノロジーはいずれもこのシステムに不可欠なものです。

「映像データ上の事象を把握する処理は、総称してマシンビジョンと呼ばれています。また、機械学習モデル、いわゆるニューラルネットワークを採用し、画像を入力すると物体の位置と、推定される種類が表示された出力が得られます。ただしこのシステムにおいて、カメラは数あるセンサーのひとつにすぎず、弱点もあります。搭載されている他のセンサーにもそれぞれに弱点と多少の遅延がありますが、これらすべてを組み合わせることで、最も信頼性の高い結果を提供することを目指しています。」

状況認識システム(AS)は、さらなる目標への第一歩にすぎません。

「何かを自動化するためには、まず周辺状況を把握するための眼やその他の感覚が必要です。次に、そこから異なる状況で取るべき行動を分析する脳が必要です。将来的には、様々に困難な状況で取るべき行動や選択肢について、乗組員にアドバイスを提供することを検討しています。」

グローク・テクノロジーズは、状況認識システム(AS)が提供するテクノロジーの融合によって、船舶の周辺状況に関する最も正確で信頼性の高い情報を船員の皆さんに提供することを現段階の最終目標としています。

グローク会員制ニュースレター2021年2月号掲載記事

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